さぁ!人生をおもしろがろう

40代(ミドル世代)で大学生になった筆者がリアルに語ります!

【40代・大学編入のリアル】ミッドライフクライシスを抜けた先に、新しい夢が見えた

卒業後&その他

40代でふと感じた「終わりの気配」

40代に差し掛かった頃、自分の中で大きな心の変化が起こった。
それは漠然とした不安、焦燥感、空虚感といった、言葉にしにくい感情だった。

これまで築いてきた仕事や家庭、社会的な役割。それなりに安定しているにもかかわらず、心のどこかに「このままでいいのか」という疑問がずっと居座っていた。

何をしても楽しくない。
未来を想像しても、どこか冷めた気持ちになる。
人生が閉じていく感覚。
「終わりが見えた」と言えば大げさかもしれないが、当時の自分にはそう感じられた。

調べてみると、これは「ミッドライフクライシス」という心の現象らしい。
中年期に起こるアイデンティティの揺らぎ。これまでの人生を振り返り、「本当にこの道でよかったのか」と自問するようになる時期だ。これをきっかけに離職、離婚、転職など、人生を大きく変える人も少なくない。

自分もまた、その真っただ中にいた。

自分の「やり残し」は受験勉強だった

この閉塞感から抜け出したい。そう思ったとき、自分の中にあった“過去の断片”が浮かび上がってきた。

それは「受験勉強」だった。

振り返れば、若い頃、心の奥底ではもっと勉強したかったという気持ちが確かにあった。だが、当時の自分は、様々な理由で本気で受験に取り組まなかった。自分の本心にフタをして、「そんなものは無理だ」と思い、短大へ進学し、その後社会に出ていった。10代の私は、すべてにおいて自分に自身がなかった。

娘が本気で志望校に向けて勉強をして志望校に合格した。それを見ていて、一所懸命に目標に向かって勉強するっていいなと思った。そう気づいた瞬間、心の奥が少しだけ動いた。「やってみようか」と思った。理由は理屈ではなかった。ただ、やってみたいという気持ちが自分の中から湧き上がってきた。

没頭できたことで、ミッドライフクライシスから抜け出せた

まずは、塾を探した。ネットで編入専門の塾を見つけて相談に行った。そこからは、驚くほど行動が早かった。
次の日には申し込み、参考書を買い、スケジュールを組み、毎日少しずつ机に向かった。勉強する内容は難しかったが、どこか楽しかった。過去の自分が取りこぼしてきたピースを、一つずつ取り戻していくような感覚だった。

今日はどこまで進められるか。
昨日よりも少しでも理解できているか。
そういう小さな喜びが、次第に心を満たしていった。

驚いたのは、あれだけ重かった心の靄が、いつの間にか薄れていたことだ。
あの苦しさ、虚しさ、何をしても楽しくなかった感覚は、勉強に没頭している間にどこかへ行ってしまった。ミッドライフクライシスの正体は、もしかすると「やりたいことが見つからないこと」「没頭できるものがないこと」だったのかもしれない。

結果として、編入試験に合格した。
そのとき、自分の中で何かがはっきりと切り替わった気がした。

40代での大学生活──若者と共に学ぶ意味

40代で大学に編入するという選択は、決して軽いものではなかった。
年齢のギャップや体力の不安、周囲からの視線など、正直に言えば抵抗がなかったわけではない。

学生生活は新鮮だった。課題に追われ、プレゼンに緊張し、レポートに四苦八苦した。
だがそのすべてが、まさに「生きている感覚」を取り戻させてくれた。頭をフル回転させる時間、知らなかった世界に触れる驚き、自分が変わっていく実感。苦しいことも楽しいこともあった。

卒業して1年──やり残しではない、新しい夢が生まれた

大学を卒業してから、1年が経った。

当初は、「受験勉強をやり遂げた」「やり残しを取り返した」という達成感だけが残るのかと思っていた。だが、実際には違った。

不思議なことに、心の中に“これからの夢”が浮かび上がってきた。

それは、若い頃に叶わなかった夢ではない。
これまでの人生にはなかった、新しいビジョンだ。
「こんなことがやってみたい」「あんなことができたらいい」──そんな希望が、ぼんやりとではあるが、確実に心の奥で芽を出している。

ミッドライフクライシスのトンネルを抜け、過去のやり残しと正面から向き合い、ひとつ片づけた先でようやく、自分自身が「これからやりたいこと」に出会う準備が整ったのだと感じている。

遅いかもしれない。それでもやる。

「年齢は関係ない」
「遅すぎることはない」

よく耳にする言葉だ。だが正直に言えば、私は「遅い」と思う。
もっと早く気づいていれば、もっと多くのことができたかもしれない。20代の柔軟さ、30代の勢い。あの頃に行動できていたら、今とは違う人生があっただろう。

だが、それを嘆く時間はもう終わった。

私は今、新しい夢に向かって進みたいと思っている。
それがどんなに遠く、どんなに困難でも、「今、ここから始める」ことに意味がある。達成できないかもしれない。しかし少なくとも、その夢に近づくことはできる。

若い人たちへ──もっと自分に素直であってほしい

最後に、若い世代の人たちに伝えたいことがある。

それは、「自分の気持ちにもっと素直でいてほしい」ということだ。
親がどう言うか、先生がどう言うか、友達がどう見ているか。そうした周囲の声に耳を傾けすぎると、自分の気持ちが見えなくなる。

自分の人生を生きるのは、他の誰でもない、自分自身だ。
だからこそ、やりたいと思ったことがあるなら、迷わず挑戦してほしい。無理だと思う理由を探す前に、一歩踏み出してほしい。

もし今、それができないとしても、せめて「やりたい」という気持ちを心にとどめておいてほしい。
それが、将来、ミッドライフクライシスの深い谷に落ち込まずに済む「自分の道しるべ」になる。

まとめ:ミッドライフクライシスの先にこそ、本当の自分がいる

40代での大学編入は、自分にとって人生の転機となった。

苦しかったミッドライフクライシス。だが、そのトンネルを抜けるために必要だったのは、「過去の自分と向き合い、やり残したことを回収すること」だった。そしてその先に、ようやく「これからの夢」が芽生えた。

今、私は新しいスタートラインに立っている。
過去でも、他人でもない、未来の自分を信じて進んでいく。

人生は、いつからでもやり直せる。
そして、やり直した先には、過去の延長ではない、本当の「自分の人生」が待っている。

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