「人生を振り返る研究を!」ミドル世代の大学での研究テーマとして
—ジェンダー、キャリア、そして自分を見つめ直す道のり—
多くのミドル世代は、人生を振り返るという時期にいるのではないでしょうか。40代、50代、60代になって、自分が歩んできた人生の中で何を感じ、何に疑問を持ち、どんなことに憤りを感じたのか。そして、もっとこうすればよかったのではないか、あの時ああしていれば、という思いが胸に湧き上がる瞬間があるのではないでしょうか。そんな感情や問いを大学での研究テーマとして掘り下げていくことは、非常に意義深い経験になると私は考えています。
大学や大学院に進学したいと思うミドル世代の方々に伝えたいことは、「仕事に直接役立つから」とか、「将来のために」といった実利的な目的だけではなく、「人生を振り返り、自分の中にある問いに向き合い、それを自分なりに解決するための研究をしてほしい」ということです。社会の一員として、家族として、職場の一員として生きてきた中で抱えてきた多くの思い、それらの積み重ねが私たちを今の場所に導いてきたことを、改めて振り返ることには、深い意味があります。実際、私自身がそうした振り返りを行い、心の中で長年解けなかったモヤモヤを解消することができたからです。
1. 私の体験と問い:女性としてのキャリア形成
私が就職活動をしていた時期は、いわゆる「就職氷河期」の真っ只中でした。男女雇用機会均等法も制定されていたものの、実際の職場ではその影響が及んでいない部分が多々ありました。特に、「女の子は短大でいい」「女の子は4年制大学に行っても就職に不利」という言葉は、私の耳に何度も入ってきました。
将来の選択肢もかなり制限されていました。「短大で就職して、結婚して家庭に入るのが普通」といった価値観が支配していた時代であり、その影響を強く受けていました。「結婚後も働くことが当然」という考え方が主流になることを期待しつつも、実際には社会がそれに追いついていなかったという事実に直面しました。
就職活動時、求人票に「結婚後は退職していただきます」と明記されている事務職の求人を見て、多少違和感を覚えたのですが、就職先がなかなか決まらなかったので、こういう職場でも仕方ないかなと思ったりもしました。しかし、明らかに女性に仕事での期待がなされていない会社の入社試験を受けることは、どうしてもできませんでした。
2. 「知らなくていいよ」と言われた日々
やっとの思いで就職が決まり、短大を卒業して事務職として働き出した私は、今度は職場での男女差別に直面しました。お茶くみや掃除といった業務については、入社当時は特に何も思わなかったものの、次第に違和感になっていきました。また他にも気づいたことがありました。それは、自分が所属する会社の製品について尋ねても、先輩たちからまともに教えてもらえないという現実でした。10個以上年上の先輩から返ってきた答えはただ一言、「知らなくていいよ」でした。とてもショックでした。女性には「仕事」や「専門性を学ぶ資格すら与えられていない」という現実を。
男性社員たちが話し合う中に入ることはできても、結局、私に求められていたのは、サポート的な役割、あるいは、「あくまで補助的な存在」であり、それ以上は求められないということに気づきました。取引先との商談においても、常に控えめに、男性に対して「おとなしくサポートする」立場を求められる場面が多くありました。
そのような状況に苦しんでいた中で、女性だからという理由で、自分に与えられるチャンスが少ないことに納得できない思いを抱えながらも、自分の立ち位置に納得していこうとしていました。しかし、心の中で確かに湧き上がるモヤモヤは、次第に大きくなっていきました。
3. ジェンダーとキャリアに関する研究が私を変えた
そして、私の人生を大きく変える出来事がありました。それは、大学でジェンダーとキャリアに関する研究を行ったことです。この研究を通して、長年抱えていたモヤモヤが解消されました。これまで自分のキャリアにおいて感じていたジェンダーに基づく不平等感や、社会的な期待がいかに深く根付いていたのかを、理論的に整理し、社会的な背景や歴史的な変遷を学ぶことで、私は自分の状況をより深く理解できるようになったのです。
自分が置かれていた状況や、感じていた不満の根本には、自分が自分自身に女性としての役割分担や社会的期待があったということに気づきました。この研究を通じて、私は自分に対する理解を深め、自信を持つことができるようになったのです。私が研究を通じて得た最大の学びは、自分のキャリアや人生に対して積極的に選択し、行動を起こしていく力を持っていることに気づいたことでした。
4. 今、私は何だってやる
現在、私は自分の研究を通じて得た知識や経験を、日々の仕事に活かし、「何だってやる」「どんな挑戦も受けて立つ」という姿勢で仕事に取り組んでいます。自分に対する自信を持ち、これまで以上に自分の意見やアイデアを堂々と表現できるようになった自分を誇りに思います。私が大学での研究を通じて気づいたことは、年齢や性別に関係なく、自分の意志で人生を切り開いていくことができるということです。これこそが、私が「人生を振り返る研究」に取り組んで得た最大の成果です。
5. ミドル世代の大学での研究:問いを自分なりに解決する
ミドル世代が大学で研究をする意義は、過去の経験を振り返り、それに関する問いを自分なりに解決する過程にあります。多くの人が、人生の途中でさまざまな課題に直面し、その問いに対してどう向き合うかを悩んできたはずです。大学での学びを通じて、その問いに対する答えを導き出すことができれば、次の人生のステージに進むための大きな一歩になるでしょう。
私たちのようなミドル世代にこそ、「人生を振り返る研究」が必要なのだと感じています。自分が経験したことについての深い洞察を得ることが、次のステップへと進むための力になるのです。
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