さぁ!人生をおもしろがろう

40代(ミドル世代)で大学生になった筆者がリアルに語ります!

「1社に勤め続けてしまった」それでも、人生の舵は今から切れる

卒業後&その他

「ずっと同じ会社にいるけれど、このままでいいのだろうか。」
40歳を過ぎた頃、ふと自分に問いかけるようになりました。

新卒で入社し、以来20年以上、同じ会社で働き続けてきました。

しかし、心のどこかでいつも小さな不安がありました。「このまま続けていいのか」「自分は本当に成長しているのだろうか」。
20代、30代の頃は目の前の仕事をこなすことで精一杯でしたが、40代に入り子育ても少し落ち着くと、自分自身のキャリアや人生を改めて見つめ直す時間が生まれました。


■ 就職氷河期世代の「辞められなかった理由」

私たちの世代は、いわゆる“就職氷河期”を生きてきました。
就職口は少なく、何十社も履歴書を送り、面接を受けても落ち続ける日々。それでもようやく秋頃に得られた内定は、まさに命綱のようにありがたいものでした。

そのため、会社を辞めるという選択肢は、そもそもほとんど考えられませんでした。
転職は珍しく、1社に長く勤めることが立派とされ、反対に職を転々とする人は「根性がない」と見られました。
理不尽なことやハラスメントもありましたが、耐え、我慢し、職を守り続けることが生きる道でした。

私自身も、当時は周囲の仲間に恵まれていたこともあり、不満はあっても、何とかやり過ごす日々が続きました。
同期や少し上の先輩たちは面白く、時には飲みに行き、愚痴を笑い飛ばすこともできました。
だからこそ、1社に長く勤められたとも言えます。しかし同時に、そこにとどまってしまったことが、後の自分にとって“選択肢を狭める要因”になったのも事実です。


■ 社会の変化と、取り残された感覚

気づけば、社会の価値観は大きく変わっていました。
転職が当たり前となり、キャリアは自分で切り拓くもの、という考え方が広がっています。
SNSを開けば、好きなことで生きている人たちの姿が目に入り、胸がざわつきます。

私自身は20年以上、同じ部署で業務を続けてきました。
一方で、社外の動きについて行けていないような焦燥感もありました。
「この先、自分は何ができるのだろう」
「この経験を活かして、新しい挑戦に踏み出せるのだろうか」
そんな問いが、日々の仕事の合間にふと頭をよぎるようになったのです。


■ 貿易業務で培ったスキルと自信

会社員としての年月は、私に確かな実務スキルをもたらしてくれました。
輸出入の書類作成、L/C(信用状)の取り扱い、輸送手配、関係各所との調整、トラブル対応──。
これらは、どれも即戦力として評価されるスキルです。
特に、海外の取引先と直接やり取りをする経験は、冷静さや柔軟性、文化や価値観を理解する力を磨いてくれました。

けれど同時に、「このスキルを活かして何か新しいことに挑戦できるだろうか」という自信は、あまり持てていませんでした。
長く勤めた安定感の中で、自分自身を試す機会は限られていたからです。


■ 40代で大学に編入した決断

そんなとき、私は思い切って大学に編入しました。
「自分をもう一度見つめ直したい」「行動力を取り戻したい」という思いがあったからです。

3年次編入で大学に入学すると、周りは20歳前後の学生ばかり。最初は場違いな気持ちで教室の隅に座っていました。
しかし、グループ研究やディスカッション、プレゼンを重ねるうちに、少しずつ自分の意見を発信することに慣れていきました。
「わからないことは質問する」「完璧でなくても発表する」──その経験が、私に行動する勇気を与えてくれたのです。

大学での学びは、単に知識を得る時間ではありませんでした。
自分自身の考え方や価値観を確認する時間であり、何より「行動力」と「自信」を取り戻すきっかけになりました。
私はここで、「まだ自分には挑戦する力がある」と実感したのです。


■ 行動力と自信が生んだ新しい挑戦

大学卒業後、私は長年の経験と新たに得た行動力を活かし、貿易相談サービスを始めました。
中小企業や個人事業主の方々から、「海外に商品を輸出したいが方法が分からない」「L/Cや書類手続きの対応が難しい」といった相談を受け、実務面から一緒に考え、形にしていくサービスです。

最初は不安もありました。
しかし、大学で得た「まずやってみる」という姿勢と、会社で培った「粘り強く問題を解決する力」が背中を押してくれました。

相談者の隣に立ち、ともに調べ、試し、結果を形にする──。
このプロセスは、会社員時代の業務とは異なりますが、求められるスキルや責任感は同じです。
長年の貿易経験を、より柔軟で人に寄り添う形に変換できることに、手応えを感じています。


■ 「1社で終わる」のではなく、「1社を活かす」

「1社に勤め続けてしまった」と後悔しています。
けれど今は、それを活かそうと思っています。

長く勤めたからこそ、業務に精通している。
トラブル対応や調整力、相手の立場を想像する力もある。

これらは、新しい挑戦を支える大きな土台です。
大学で培った行動力と自信が加わった今、私はその土台の上に、新たなキャリアを築こうとしています。


■ 今後の社会への貢献

これから、これまで培った貿易の実務経験と大学で身につけた行動力を、さらに社会の役に立てていきたいと考えています。

日本の中小企業や起業家の方々に、海外取引の実務支援やアドバイスを提供し、挑戦を後押しする。
貿易や国際取引のハードルを下げることで、新しいビジネスの芽を育てる。
それが、私にできる社会貢献の一つだと思っています。

長く1社に勤めた経験と、再び学ぶことで得た自信。
この二つを組み合わせることで、私は新しい価値を生み出すことができると信じています。


■ いつからでも、人生の舵は切れる

50歳が近づく今も、私は挑戦の途中です。
毎日、新しいことを学びながら、相談者と向き合っています。

「1社に勤めてきた」人は、変化を恐れがちです。
しかしその経験こそ、次の挑戦を支える力になります。
どんなに時代が変わっても、誠実さや努力の習慣は決して消えません。

人生は、何歳からでも舵を切ることができます。
私は40代で大学に行き、行動力と自信を得ました。
そして長年の経験を生かしながら、社会の役に立つ新しい挑戦を続けています。

「今が動き出すタイミング」
そう思えるかどうかが、人生を変える第一歩です。
たとえ同じ会社に勤め続けていても、人生の航路は、自分の意志で描き直せます。
これからも、私はこの信念を胸に、貿易の力を通じて、より多くの人や企業の挑戦を支えていきたいと思います。

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