さぁ!人生をおもしろがろう

40代(ミドル世代)で大学生になった筆者がリアルに語ります!

「学生ですが・・・」— 47歳で編入したら教授扱いされる日々

卒業後&その他

「あの……学生なんですが」

大学のシンポジウム。
ゼミの課題で見学必須だったので、私はきっちり30分前に会場に到着した。

入口には立派な受付があり、「学生はこちら→」「関係者はこちら→」「保護者の方はこちら→」と案内の貼り紙がされてあった。
それを見て、私は少し不安になる。
案の定、受付の方は「えっと……」と私を見て一瞬フリーズ。

―― そう、私は学生には見えないのだ。

不安げに視線を泳がせる受付スタッフ。
私は、申し訳なさそうに言う。

「すみません、学生なんですが……」

「あっ!失礼いたしました!こちらです!」

こうして、無事「学生」の列に案内される。
こんなこと、もう慣れている。


試験官と間違えられた編入学試験の日

私が大学の編入試験を受験したのは46歳のとき。
人生の後半に差し掛かってからの再出発だった。

その時のことは、今思い出しても笑ってしまう。

会場に早く着きすぎた私は、廊下に立っていた。すると、緊張した様子の受験生がこちらに近づいてきて言った。

「今日って、教室あっちで合ってますか?」

「はい、教室はこちらです……」

なんと私、試験官だと思われていた。

それから数分後、本物の試験官が来て、他の受験生が私を見て絶句していたのを今も忘れない。


「教授だと思われてる・・・」

大学に入学してからも、誤解は続いた。

学内を歩いていると、学生たちがよく挨拶してくれる。私は教授に見える年齢なのだった。

特に新入生は、完全に私を学校関係者と勘違いしているようだった。


教授からも会釈される

学生たちに間違われるのは、まあ、ある意味仕方ない。

でも、教授陣にまで会釈されるとは・・・。

授業の前に廊下で立っていると、知らない教授が丁寧に会釈してくる。
私はとっさに背筋を伸ばし、社会人20年のベテランとして、礼儀正しく返す。

きっとこう思っているのだろう。

「たぶん…地域連携の職員の方?」
「キャリアセンターの人かな?」
「広報室の撮影担当の人かも…?」

それくらい、私は“大学関係者のオーラ”を放っていたらしい。


大学生っぽくなりたい私のささやかな抵抗

もちろん、「学生に見られない」ことが悲しいわけではない。

ただ、「ちょっとくらい大学生っぽく見られたい」と思うことも、正直ある。

だから私は、スニーカーを履く。リュックを背負う。パーカーを着てみる。

…が、それでも「教授」扱いされる。

どうやら年齢の壁は、服装では越えられないらしい。


それでも、私は「学生」であることを楽しんだ

私は学生だった。
出席を取り、レポートに追われ、プレゼンに緊張し、テスト前に焦る。

20代の同級生たちとグループワークをし、ランチを食べ、時には悩みを話す。
年齢は違えど、同じ「学生」なのだ。


「歳をとってから学ぶ」ということ

学び直すというのは、カッコよいと思われがちだが、そんなにかっこよくはない。

教科書の内容に追いつくのも大変だし、若い子たちと話すには勇気がいる。
でも、普通ではない面白さがある。

自分が社会で経験してきたことが、授業の内容と結びつく瞬間がある。
「なるほど、あれはこういう理論だったのか」と腑に落ちる瞬間がある。
そして、20代の学生たちのフレッシュな視点に刺激を受けることも多い。

誤解されながらも、私は学生であることを面白がった。

もし、大学のキャンパスで、
講義前の教室で、
受付で迷っている中年学生を見かけたら ── どうか遠慮なく話しかけてあげてほしい。

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