40代。何を着るべきか迷う瞬間がある
年齢を重ねると、不思議と「何を着たらいいのかわからなくなる」瞬間がある。
20代は、何を着てもそれなりに“若さ”でごまかせた。
30代は、少しずつ“落ち着き”を意識し始め、仕事や子育ての場面に合わせて服を選ぶようになった。
そして40代。
もう「何を着ればいいか」ではなく、「どう在りたいか」を問う時期に来ている。
若い学生に合わせて選んだ“カジュアル”の違和感
私は40代で大学に編入した。
それまでキャリアも家庭もある程度築いてきた中での、新たなチャレンジだった。
当然、まわりには10代や20代の若い学生ばかりだ。
私は彼らに「馴染まなければ」と思った。
入学前にカジュアルな服を一週間分そろえた。
スニーカー、リュック、カジュアルなパーカーやデニム。
若く見せたいとか、まわりと違わないようにしたいとか、そんな気持ちがどこかにあった。
“合わせること”より、“自分らしくあること”
大学を卒業した今ならはっきり言える。
無理に合わせる必要なんてなかった。
自分が心地よく、自分らしいと感じる服を着ればよかったのだ。
もちろん、カジュアルな服が好きな人もいるし、スニーカーにリュックのスタイルが自分らしい人もいる。
それはそれで素敵なこと。
大事なのは、“まわりに合わせたから”ではなく、“自分が選んだから”着ている、ということ。
40代で大学に行くという選択自体が、すでに十分に特別だった。
だからこそ、もっと堂々と、自分らしい服で通ってよかったと思っている。
私の“ベース”は黒。静かに、自信をまとう
私の服装の基本は、黒だ。
黒は引き締まって見えるし、静かで、品がある。
明るい色の膨張色はあまり着ない。
たとえトレンドであっても、「自分が着たいかどうか」で判断する。
黒、グレー、ネイビー、ブラウン。
そうした色たちは、見た目の印象を和らげながらも、自分の軸をぶらさない“強さ”をくれる。
奇抜でなくてもいい。派手でなくてもいい。
落ち着いていて、自分に似合っている。それが一番大事だと、今は思う。
大人しい色に、ほんの少しの“遊び”を添える
落ち着いた色の服に、小さなワンポイントを取り入れる。
たとえば、黒のワンピースに鮮やかなブルーのバッグを合わせる。
グレーのパンツに、ほんのり赤みのあるリップを足す。
差し色は服だけじゃなく、靴、アクセサリー、ネイル――どこでもいい。
全体はシックにまとめつつ、どこかに“遊び”を入れる。
その小さな工夫が、「今日の自分」を少しだけ特別にしてくれる。
「40代だから落ち着いていなければ」は、思い込み
40代になると、「落ち着いた色を着なきゃ」とか、「露出は控えめに」とか、
いろんな“べき”が頭をよぎるようになる。
若作りをする必要はないけれど、自分が気持ちよく感じる服を選ぶことは、年齢と無関係だと思う。
“落ち着いている”と“自分を押し殺す”は違う。
無理して華やかにしなくてもいい。
でも、無理して地味にすることもない。
経験があるからこそ、「選べる」ようになる
40代になった今、私はやっと「自分に似合う服」がわかってきた。
それは20代の頃のように、“誰かの真似”じゃない。
30代の頃のように、“子育ての延長”でもない。
私の肌に合って、気持ちがしゃんとして、自然と背筋が伸びる服。
それは、年齢と経験の中からようやく見つけた、“私だけの制服”のようなもの。
トレンドに左右されるのではなく、「今の私に必要なもの」を考える。
おわりに――服は、年齢ではなく“生き方”を映すもの
40代になって、ようやく“自分の服”に出会えた気がする。
それは、自信をまとう服。誠実さを語る服。
そして、自分の中の小さな楽しみや、ちょっとした冒険を許してくれる服。
40代になって通学。無理に若者に合わせようとしていた。
あのときの違和感も、今の“自分の軸”をつくる過程だったのだと思う。
服は、年齢ではなく “生き方” を映すもの。
40代、まだまだここから。
好きな服を選び、心地よく、堂々と歩いていこう。
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